筥崎宮の年中行事の中で、春(三月)と秋(九月)の二度、社日祭があります。 社日祭とは雑節のひとつで、春分の日・秋分の日に一番近い戊(つちのえの)の日にあたります。社日祭は、五穀豊穣・除災招福・家内安全等を祈るお祭り(もとは土の神様に豊作を祈願また感謝するお祭り)で、この社日の日はお潮井取り(お潮井汲み)と称して、箱崎浜の真砂を頂いて自宅へ持ち帰ります。古来より美しい博多湾の中でも、この箱崎浜(筥崎宮の御神域)の真砂を神聖なものと考え、その真砂をもって清め祓って参りました。特にこの社日の日のお潮井は効き目があると珍重され、早朝から箱崎浜へ訪れる参拝者の姿が多く見受けられます。博多では、このお潮井(真砂)の入った「てぼ」と呼ばれる竹で編んだかごを玄関や戸口に備えて、朝夕に身を清め家の出入りに際して身に振りかけて災難除けを願います。また、豊作や虫除けを祈って田畑にまいたり、家の建て替えにあたって敷地にまいたりと、このお潮井の信仰は古くから博多の日常生活の中に根付いている地方習俗です。近郊の地域では、輪番でご近所のお潮井をまとめて汲みに訪れるところもありました。博多三大祭りのひとつ「博多祇園山笠」の際にも、神事の無事を祈ってこの箱崎浜のお潮井をとりに来ることは有名です。
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